始めに
皆さん、「貞観政要」ってご存じですか?あまり聞いた事ない方が多いと思います。私も知らなかったのですが、中田敦彦さんのYOUTUBEで紹介されて初めて知りました。
簡単に言うと、「貞観」とは中国の唐王朝の2代目 李世民(りせいみん)の治めた年号。「政要」とは政治のまとめという意味で、貞観の治をもたらした政治のまとめみたいな物です。
貞観の治は後世の人々から理想的な統治が行われた時代の1つとされており、日本では北条政子(ちょうど大河ドラマやってますね!!)、徳川家康が読んだと著者は述べています。
この本で度々述べられている事、それは権力という物は恐ろしい物で人をおかしくする力があるという事。そう「貞観政要」とは権力対人間という物で、どうすれば人は権力に負けないで済むのかという道標なのです。
この本と私達にどのような関係があるのか?
オレ、皇帝じゃねーしー、権力もねえしー、寝る。
という声が聞こえてきそうですが、
著者は現代は民主主義の元、誰でも権力を生む組織になっており、社長だけでなく、部長、課長、部門の担当者、~サークルの会長、家では親などあらゆる場面において権力を握る場面があると述べています。
そういえばTVや新聞などで事件で賄賂、収賄、不正などよく放送してますよね?
なぜ地位も名声も得た方々が、その人達にとっては少しのお金をもらって人生を棒に振ってしまうのか?
李世民はなぜ中国の皇帝という絶対的な権力を得ながらも、理想的な統治を行う事ができたのか?
前置き長くなりましたが、要点をまとめてみました。
今回紹介する本はこちら
帝王学「貞観政要」の読み方 著者:山本七平 発行所:日本経済新聞出版社
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創業と守成いずれが難きや
この本の核となる部分です。創業とは、組織を作るまで。守成とは組織ができた後。どちらが難しいと思いますか?「貞観政要」では守成が難しいと著者は述べています。
創業の時は頑張れば成果が目に見える形で表れてくるが、維持するのは頑張っても目に見える成果がすぐに出てくるわけではないと筆者は述べています。
北条政子は平家の滅亡を、徳川家康は織田信長、豊臣秀吉の失敗からの滅亡を間近でみて、どのようにすれば同じようにならないで済むのか?
「守成」を維持するのはどうしたら良いのか?という意識があり、「貞観政要」を読んだとされております。
敵の忠臣を重んずる
玄武門の変
唐王朝の皇帝李淵(りえん)には3人の息子がいました。長男の建成、次男の世民、三男の元吉。
その息子の中で、世民は弓の名手で人格者であり、後継者は世民を推す声があがります。建成、元吉は部下、魏懲(ぎちょう)の指示の元、世民の暗殺を企てます。
乱世の世、あるあるですね。
それを知った世民の部下が、世民に知らせ暗殺は失敗、世民が皇帝となります。
世民が敵の忠臣であった魏懲を呼び出し、処刑するかと思いきや、諫議大夫に任命しました。
諫議大夫とはその当時の中国では政治における最高権力の位で、皇帝が誤った事をすると、遠慮なくダメ出しをし、正しい道に導くという役割がありました。
なぜ世民は敵の忠臣を諫議大夫に任命したのか?
裏切り者や態度のあやふやな者は信用できない。自分の敵に誠意忠実であった物には自分との間に信頼関係ができれば信頼できる部下になると考えたんですね。
懐深し、李世民!!
私だったら即追放してます・・・・
この魏懲は超優秀な人物で、この先で何度も世民に諫言(ダメ出し)を行い行動を改めさせた人物になっていきます。
偏信を捨て兼聴する
- 兼聴・・・多くの人の意見に耳を傾ける事。
- 偏信・・・1人や特定の人物の言う事だけ聞く事。
世民はとにかく部下の言う事は聞くべき事は聞くようにしていました。
ふーん、そんな事?
と思われがちですが、自分の意見と合わない人がいるとムッとしてしまいますよね。
その考えは一旦は置いて聞いてみるという事。
また幅広い人の意見を聞いてみる事。
権力を持つと自分が努力しないと偏信になってしまう、と世民は常日頃から自戒をしていました。
部下の進言を聞き入れる
世民は特に魏懲の言う事をよく聞き政治を行いました。
周りの部下は魏懲は外様の人間なので、昔からの部下は面白くないですよね。ある時部下が「何でそんなに魏懲の言う事を聞くのか?魏懲は皇帝を成人の君主として扱っていない」と聞きます。
世民は「私は武の事だけ学んできたので政治の事は良くわからない。ただ今、平和な世の中が出来上がったのはすべて魏懲の力である。魏懲の言う事に聴従しているのは私的な情からではない」
皇帝なのに謙虚・・・そしてかっこいい・・・。
世民は常に部下からの諫言を欲っし、その内諫言が無くなってしまったというくらい自己の戒めとしていました。
虚栄心を捨てさる
人間の虚栄心という物は無限大であると著者は述べています。
皇帝が贅沢をし始めると、たちまち部下も真似をするようになります。その事が人民に伝われば、反乱の元になるが、皇帝が質素倹約に努めていれば人民にも知れ渡るようになります。
世民も虚栄心がなかったわけではなく、贅沢品を集めていたりしたが、度々、魏懲に諫められていました。
- 本当に必要な物・・・実需
- 自分の欲望や虚栄心を満たすだけの物・・・虚需
を見分ける事が重要としています。
私、虚栄心の塊です(笑)
私の本名は虚栄心じまです。
私はインプレッサWRXというスポーツカーに乗ってますが、買う時に、
「こんな車乗っている自分はすごい」
や女の子からモテたいという気持ち、ありました・・・
その後にローンに苦しめられるわけですが・・・・虚栄心は自分のお金も破綻させてしまいます。
私の経験をご覧ください。
ここで疑問なのですが、諫議大夫の魏懲はなぜ、国家の最高権力といって言い程の力を持ちながら、適格なアドバイスができたのでしょうか?
なんと魏懲自身も質素な生活をして、権力に溺れないで死ぬまで変わらなかったとされています。
全能感を捨てる
人間は皆、他人の欠点や非はすぐに気がつくが、自分の事は分からないと著者は述べています。
これは今の時代だけではなく、昔からそうでした。
権力者は度々全能感にとらわれます。世民は常に政治の事に関しては知る努力を重ね、その努力が重なって成果が上がってくると、自分を評価してくれるだろうと思い込み、世民もそうなったところ、魏懲に諫められています。
魏懲・・・めっちゃ厳しいですね・・・
ちょっと一息、じまの経験談
権力を手に入れる
私の仕事は担当する種類毎に担当制がしかれていて、担当者は普通の会社では考えられないような権力を持っています。
私も
俺の担当する物では俺がすべて正しい!!
と平気で思っている時期がありました(笑)
上司から指摘を受けたり、後輩から何か言われたり、取引先からクレームがあったりすると、
「わかりましたぁ」
「ニコッ」(^^)/と言いつつ、心の中では・・・
モブキャラが、うるせえよ!!
と思ってましたね(笑)
この考えって、自分の世界すごく狭めちゃうんですよ。物事も自分視点なのでうまくいかない事が多かったです。
当然の様に行使していた権力ですが、今では少し怖いと思うようになりました。
会社の後輩に当たり散らかす
皆さん、後輩の話、ちゃんと聞いてますか?
私は自分の考えとは違う事を言う後輩や新人には、言葉は強くないものの恫喝するような態度を取ってました・・・
正しくこれが暴君!!
相手も後輩なので、言い返してこない事をいい事に自分の考えを押し付けていたような気がします。
自分と違う考えを持った上司や同僚、後輩がいた時に、
まず深呼吸をしよう・・・
なぜそう考えるのか、一考してみて良ければそれを採用してみようと思うようになりました。
会社の新人や後輩が自分より劣っているのは経験が足りないからであり、能力自体は上の可能性も十分にあると思うようにしています。
ただこれは本当に難しい・・・・
私は時の権力者に対して笑う事はできませんね。
まとめ
大変長くなりましたが、後に貞観政要をまとまた呉兢(ごきょう)という人物が、
欠点も多く、多くの過ちを犯した人と記している。ただ太宗の美点は、自己の欠点をよく知り、諫臣の言葉をよく入れて、改めるべき事は速やかに改め、その直言を少しも怒らず、感情を害することもなく、逆に、直言してくれた者に必ず「特別ボーナス」を出した、
31ページより引用
太宗・・・李世民の事
この言葉に尽きるのではないかと思います。
私はこの本と出会い日頃から気をつけていますが、このブログをまとめている時でも耳に痛い事たくさんありました。
ただこの本を自分の諫議大夫とする事で、魏懲のような優秀な部下からダメ出しを受け、常に人の道を誤まらずに生きていけると思っています。
皆様にとっての魏懲は誰にあたるでしょうか?意外なところですぐ近くにいるかもしれません。
良き人生を!!
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